
他者といる技法 ――コミュニケーションの社会学 (ちくま学芸文庫)
奥村隆
筑摩書房 / 20240213
この本について
人と関わるとき、つい「ちゃんと理解しなきゃ」「わかり合えなきゃ」と思い込んで、自分のほうがしんどくなることってありますよね。相手の気持ちを読みすぎて動けなくなったり、逆に「いい人でいよう」とするあまり自分を締めつけてしまったり。頭ではほどほどでいいと分かっていても、距離の取り方がよくわからないまま日々が過ぎていく感じ、僕もずっと抱えていました。 『他者といる技法』は、そういう“優しさゆえの行き詰まり”に少しだけ風を通してくれる本でした。たとえば、理解しようとしすぎるほど共存が難しくなるという指摘や、「カワイソウ」というまなざしが相手を客体化してしまう仕組み、さらには自分の中の「優しくありたい」「ちゃんとしていたい」という欲望が、いつのまにか暴力的に働いてしまう可能性。どれも身に覚えがありすぎて、ちょっと背筋が伸びました。 この本は、悩みを一気に解決するタイプではありません。でも、理解を手放す場面があっていいとか、自分も相手も“主体のまま”関わるための別のやり方があるとか、そういう現実的な視点をくれるだけで、人間関係の力みが少し減ります。誰も完璧じゃない前提でどう共にいるかを考えたい人に、とても静かに効く一冊だと思います。
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