
原敬 外交と政治の理想(下) (講談社選書メチエ)
伊藤之雄
講談社 / 2014-12-10
この本について
仕事でも日常でも、組織の意思決定が思ったように前に進まないときってありますよね。誰が本当のキーマンなのか見えなかったり、立場ごとの思惑が絡むと、正しい判断より力関係が優先されてしまうのでは…とモヤモヤすることも多いと思います。 この本で描かれる原敬の動きに刺さる人が多いのは、まさにその「複雑な組織をどう扱うか」という悩みに関わる部分が多いからだと思います。参謀本部との摩擦や、山県有朋の影響力、皇室問題まで絡む難題の中で、原がただ強引に進めるのではなく、軍人との意思疎通に時間をかけたり、内部の改革者とだけ協力して前に進めたりと、現実的な突破口を選んでいるのが印象的です。また、普選運動や労働争議を「放置すれば革命の火種になる」という恐怖の中で、過剰に強硬にもならず、かといって迎合もしない姿勢は、今の社会でも感覚としてわかるところが多い気がします。 組織を「動かす」というより、「崩さずに変える」ために何を押さえるべきか。その視点が歴史の細部から立ち上がってくる本です。政治史の専門知識がなくても、社内調整に悩んでいる人ほど得るものが大きいと思います。こんな人に刺さるのは、強さより現実的な手触りを求めているタイプの方です。
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