
いなくなれ、群青(新潮文庫nex) 階段島
河野 裕
新潮社 / 2014-09-01
この本について
気持ちが沈む日ほど、「どこにいても自分が場違いなんじゃないか」とか「間違ってばかりだな」とか、そんな小さなモヤモヤがじわじわ効いてきます。正解がわからないまま動くのって、けっこうしんどいですよね。僕もよく、静かな映画館の終演後みたいな安心を求めて逃げ込みたくなります。 『いなくなれ、群青』の抜粋を並べると、読んだ人が惹かれているのは“自分の弱さや曖昧さをそのままにしておける場所”なんじゃないかと思います。例えば、深海魚とホッキョクグマの話みたいに「居場所はひとつじゃない」と言ってくれる視点は、無理に変わらなくちゃと焦る心を少しゆるめてくれます。あるいは、「間違うしかない問題」に触れている場面は、選べない自分を責めがちなときに、呼吸の仕方を思い出させてくれる。さらに、自由と不自由の関係の描き方は、停滞を恐れすぎて空回りするときに、もう少し現実的な足場を示してくれます。 この物語は解決策を押しつけないし、登場人物の言葉もどこか不器用です。でも、その不器用さごと抱えてくれるような静かな余白がある。だからこそ、場違い感や停滞感に疲れやすい人にとっては、自分がどう見えているかより「今ここにいる」という感覚が少し戻ってくる本だと思います。 刺さるのは、自分の影をちゃんと見たことのある人。答えを急がず、まずは立ち止まりたいときにそっと開くとちょうどいい一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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