
夜行 (小学館文庫)
森見登美彦
小学館 / 2016-10-30
この本について
最近、人との距離感がうまくつかめなかったり、誰かの表情を読んだつもりで勝手に解釈してモヤモヤすること、ありませんか。自分でも気付かないうちに、怖い場所や向き合いたくない問題を避けてしまうこともあって、「情けないな」と落ち込む夜がある。そういうときに思い出すのが、森見登美彦の『夜行』です。 この本は、何かを解決してくれるタイプではないのですが、逃げてしまう弱さや、自分の都合で相手を見てしまう未熟さを、物語の中でそっと照らしてくれます。人の顔を“言葉でラベル付けして見る”という場面は、図星すぎて目をそらしたくなるし、厄介な問題から逃げる主人公の姿には、どこか自分の影が重なります。けれど、旅の途中でふと鼻に入ってくる冬の匂いのように、失われた感情がさりげなく甦ってくる瞬間があって、自分の中にまだ何か残っている気がしてくるんです。 物語に身を置いてみると、「現実を変えよう」と気負うよりも前に、まず自分が何から逃げているのか、誰をどう見ているのかに気付く余白が生まれます。解決よりも、“立ち止まって確かめ直す”ことが必要な人に刺さる一冊だと思います。 向き合えないものを抱えたまま、でもどこかで整理したいと思っている人に。『夜行』は、その揺れを無理に収めようとせず、そのまま連れて歩いてくれる物語です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
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