
七十歳死亡法案、可決 (幻冬舎文庫)
垣谷美雨
幻冬舎 / 2015-03-13
この本について
親の介護や老後の話題って、自分もそこそこ歳を重ねてきているはずなのに、どこか“まだ先のこと”みたいに扱ってしまうところがあります。でも実際は、親の変化に戸惑ったり、自分も同じように変われていないことに気づいて気まずくなったり、そういう細かいモヤモヤの積み重ねなんですよね。僕自身も、親やパートナーとの距離感で「なんでこうなんだろう」と立ち止まる日があります。 『七十歳死亡法案、可決』が効いてくるのは、ちょうどその“生活レベルの違和感”を丁寧に拾ってくれるところです。たとえば、誰かがいなくなることで初めて家の不便さに気づいたり、自分では変われたつもりでも周りから見れば全然変わっていなかったり、そんな場面が妙に身に覚えがある。登場人物たちが相手に苛立ちながらも、自分の狭さを自覚していくプロセスが、こちらの思い込みもそっとほどいてくれます。そして、歳を取ることを「衰え」だけで語らない視点にも救われます。後半で語られる“六十を過ぎてからの成長”という言葉は、未来に対して少しだけ肩の力を抜かせてくれました。 家族について考えたいけど、説教くさい話はしんどいという人に刺さる一冊です。読んでいるうちに、身近だからこそ見落としていた気持ちに、そっと手が伸びるような感覚がありました。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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