
自己啓発をやめて哲学をはじめよう
酒井穣
フォレスト出版 / 2019-04-10
この本について
最近、「自分の可能性をもっと信じろ」とか「成功するための習慣を身につけろ」といった言葉に、前よりも疲れを感じることが増えてきました。がんばる理由が曖昧なまま走り続けて、ふと立ち止まると、そもそも何を目指していたんだっけ…と空っぽさだけが残る感じです。自己啓発に飽きたというより、期待していたほど自分は変わらない現実に、ちょっとしょんぼりしてしまうというか。 この本が面白いのは、「じゃあ期待しなければ楽になる」といった逆張りではなく、自分という小さな箱の外に視点を移すことで、そもそも悩みの構造そのものが変わるところです。成功物語に乗れなかった自分を責めるのではなく、成功という概念自体を一度棚に置いてみる。心理的安全性が簡単に手に入らない現実も受け入れつつ、そのうえで世界に対して好奇心を向けてみる。こういう姿勢が、妙に肩の力を抜いてくれるんです。 僕自身、「自分を諦める」という言葉がここまで前向きに響くのは初めてでした。あきらめるとは、本来“あきらかにする”ことで、自分への執着を手放す作業に近い。自分の中心に特別な何かを求めなくても、世界のほうが十分に面白いじゃないか、と少しだけ思えるようになりました。 自己啓発に違和感を持ちつつも、何を拠り所にすればいいのか迷っている人には、とても静かに効いてくる一冊だと思います。
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