
再発見 日本の哲学 大森荘蔵 哲学の見本 (講談社学術文庫)
野矢茂樹
講談社 / 2015-07-10
この本について
仕事でも日常でも、言葉の意味をうまくつかめない瞬間ってありませんか。分かったつもりで話しているけれど、相手と同じものを指しているのか自信がない。あるいは、目の前にないものを「ある」と扱うとき、自分はいったい何を根拠にしているのか、ふと不安になることがあると思います。 この本を読むと、そのモヤモヤに少しだけ整理がつきます。大森荘蔵が扱うのは、専門知識で押すような哲学ではなく、「そもそも自分はいま何を見て、何をわかったことにしているのか」という足元の確認です。たとえば、電子のように直接見えないものをどう理解しているのかとか、「猫」の意味は本質を知ることじゃなくて、判断できるという技のほうにある、といった話。こういう視点に触れると、普段の思考そのものが、無意識に前提を積み上げていたことに気づかされます。 僕自身、この本で助かったのは「他人の心」や「見えていない対象」をどう扱えばいいのかが、少しだけ落ち着いて考えられるようになったことです。観察できないものをどう位置づけるのか。その不確かさをごまかさずに扱う姿勢は、仕事で判断に迷ったときにも効きます。 自分の思考の足元に違和感を覚えることがある人に、静かに刺さる本です。
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