
哲学の謎 (講談社現代新書)
野矢茂樹
講談社 / 1996-01-20
この本について
最近、ふと「自分が死んだあとも世界は続くって、なぜ言い切れるんだろう」とか、「時間って本当に流れているのか」といった、言葉にしづらいモヤモヤに立ち止まることがあります。仕事が忙しいときほど、こういう問いは雑に扱ってしまうのですが、放っておくとずっと頭の奥でざわざわし続けるんですよね。 『哲学の謎』は、この“ざわつき”を無理やり解決しようとはしません。むしろ、見て見ぬふりをしてきた前提を一度机に並べ直してくれます。例えば、「世界は実在するのか」という極端に思える問いも、著者はちゃんと“どこが謎なのか”を見える形にしてくれるし、「色は対象そのものではなく、見る側との合作」という話も、日常の感覚がひっくり返るようでおもしろい。さらに「過去は記憶と証拠から構成される」という視点は、思い出に対する距離の取り方を少し変えてくれます。 読んでみると、答えを探すというより、ものの見え方そのものが少しずつズレていく感じがあります。自分の意識の中だけで成立していると思っていた世界が、じつはこんなふうに成り立っているのかもしれない、と静かに思える。その“ズレ”が、日常のしんどさを別の角度から眺める余白にもなるんですよね。 「なんとなく世界の前提が気になってしまう人」には、かなり刺さる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
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