
無限論の教室 (講談社現代新書)
野矢茂樹
講談社 / 1998-09-20
この本について
仕事でも日常でも、「考えがまとまらないまま時間だけが過ぎるな…」という感覚ってありますよね。答えを出したいはずなのに、そもそも何を答えにすればいいのか分からない。そんな宙ぶらりんな状態のまま、思考の足場がふわっとしている感じ。僕自身けっこう悩みがちで、そこに妙な後ろめたさまで出てくることがあります。 『無限論の教室』は、そんな“足場のあいまいさ”を正面から扱う本です。抜粋にもあるように、著者は最初から難しい話を押しつけるわけじゃなく、大学の小さな部屋で、二人の学生に問いかけるように話を進めます。「無限って何?」のような、大人になると意外と言語化したことがないテーマに向き合う過程で、自分がどれだけ思考を急ぎ、形にしようとしていたかに気づかされます。肯定か否定かのどちらにも寄らずに“まだ考えていない状態”をちゃんと許す感覚や、点や数の扱いひとつにも「作り出す」という視点があることなど、普段の判断に引っ張られない考え方の訓練になるんですよね。 特に、すぐに結論を求められる環境に疲れている人や、「考えることそのものの姿勢」を整えたい人にはしっくりくると思います。派手な答えが得られる本ではないけれど、思考の部屋に静かな風が入るような体験がほしいときに、そっと置いておきたくなる一冊です。
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