
終わらない歌 (実業之日本社文庫)
宮下 奈都
講談社 / 2025-03-14
この本について
夢とか才能とか情熱とか、言葉にするときれいなのに、いざ自分のことになると重かったり苦かったりしますよね。がんばりたいのに進めない日もあるし、誰かの成長がまぶしすぎて、自分の足元だけ泥だらけに見える夜もある。そんなときに、少しだけ呼吸を整えてくれたのが『終わらない歌』でした。 この物語の人物たちは、みんな何かを欲しがっていて、でもその欲がきれいな形をしていません。情熱が武器になるとわかっていながら空回りしたり、順位に振り回されて自分を見失いかけたり、貪欲であることを恥じたり。そうやって揺れながらも、それでも舞台に立つ場所を探し続ける姿が、自分の中の散らばった気持ちと妙に重なるんです。特に「他人のせいにすると吐き気がする」とか「ここで立ち止まりたくない」といった葛藤は、仕事でも趣味でも心当たりのある人が多いんじゃないかと思います。 読んでいて励まされるというより、「ああ、こういう弱さや欲深さを抱えたままでも歩いていいんだな」と思わせてくれるのがこの本の効き方でした。勢いよく進めなくても、だらだらでも進むほうが止まるよりいいし、欲望を完全に制御できなくても、その中に自分の形が見えてくる瞬間がある。そんな視点の変化をそっと渡してくれる物語です。 才能に怯えたり、誰かと比べて立ち止まりがちな人ほど、刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
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