
「昔はよかった」病(新潮新書)
パオロ・マッツァリーノ
新潮社 / 2015-07-17
この本について
最近、「昔より治安が悪くなってる気がする」「ニュースを見るたびに不安だけが増える」と感じることが、自分の中でもよくあります。実際のところ何がどれくらい危ないのか、数字で確認する前に気持ちだけがざわついてしまう。そんなとき、この本がけっこう効きました。 面白いのは、「不安そのもの」を否定しないところです。むしろ、私たちが不安を感じる構造を丁寧にひっくり返してくれる。誘拐も空き巣も詐欺も、実は過去より圧倒的に減っている事実を淡々と積み上げていく一方で、「安心してるから安全になるわけじゃない」という視点も突きつけられる。ニュースの量が増えただけで、現実が変わったわけじゃないという指摘は、妙に日常に引き寄せて考えられました。 特に刺さったのは、自分の不安が“記憶の書き換え”や“語りのクセ”に影響されているかもしれない、というところです。むかしのコミュニティは温かかった、治安もよかった……とつい思いがちだけど、データを見るとそんな単純な話ではない。過去を美化しても、今の判断力は上がらないんですよね。 いまの世の中が本当に危ないのか、それとも「危ない気がしているだけ」なのかを、一度フラットに確かめたい人に刺さる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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