
解読「地獄の黙示録」 (文春文庫)
立花 隆
文藝春秋 / 2004-08-10
この本について
仕事でも日常でも、「正しいと思ってやっていることなのに、どこか自分の中の感覚とズレていく瞬間」があります。目的に向かって走っているはずなのに、手段がいつのまにか自分を侵食していくようなあの感じです。そんなとき、この『解読「地獄の黙示録」』を読むと、ただ映画の背景を知る以上に、自分の内側をじわっと突かれるような感覚がありました。 本書が効いてくるのは、戦争という極端な状況を扱いながらも、カーツの「正気と狂気の境界」を人間の構造として描き出すところです。戦争目的に忠実であるほど狂気に落ちていくという逆説や、手段が目的を浄化しないという指摘は、実は私たちの仕事観にも直結します。何かを成し遂げるためにやっていたはずが、いつの間にか「やり方」だけが暴走してしまう。そこに立花隆が丁寧に光を当ててくれるので、自分の思考の癖を見直すきっかけになるんですよね。 そしてもう一つ大きかったのは、カーツが自分の空虚さを理解しているという点。自信があるようで実は内側がスカスカになっている状態って、極端ではなくとも思い当たる人は多いはずです。そんな“空洞の感覚”を放置したまま前に進むとどうなるのかを、映画よりもはるかに具体的に見せつけられます。 自分の中の「目的と手段のねじれ」に心当たりがある人には、とても刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
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