
はじめての親鸞(新潮新書)
五木 寛之
新潮社 / 2016-03-17
この本について
最近、人との距離感や価値観の違いに少し疲れてしまうことがありませんか。正しさを求めるほど、逆に息苦しくなる瞬間があるというか…。自分のほうが「ちゃんとしなきゃ」と思い込みすぎて、かえって周りとうまく馴染めなくなることもあると思います。僕自身、そういう感覚を抱えながら手に取ったのが『はじめての親鸞』でした。 この本が面白いのは、「大事なことって、意外と泥くさい場所で広がってきたんだな」と気づかせてくれるところです。例えば、市場で弟子たちが賑やかに法螺貝を吹いて人を集めていた話。いまの感覚だと騒がしい宣伝みたいですが、本来は“ここから大事な話が始まるよ”というサインだったという視点が腑に落ちます。また、「水清きに魚棲まず」という一文も、きれいで純粋なものだけでは人の心に届かない、という現実にそっと寄り添ってくれる感じがありました。清らかさを追いすぎて苦しくなる時、少し肩の力が抜けます。 さらに、念仏が社会の底辺にいる人たちを支えてきたという記述も印象的でした。立派な言葉ではなく、生活の中で弱さごと受け止められる思想があったという事実は、自分の悩みを“そんなに特殊じゃない”と思わせてくれます。 完璧でいなくていいのだと思いたい人に、じんわり効く本だと思います。
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