裸はいつから恥ずかしくなったか ──「裸体」の日本近代史 (ちくま文庫)

裸はいつから恥ずかしくなったか ──「裸体」の日本近代史 (ちくま文庫)

中野明

累計読者数7
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star総合評価 62/100
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この本について

ときどき、自分が当たり前だと思ってきた感覚って、どこまでが自分のものなのか分からなくなることがあります。特に「恥ずかしさ」みたいな、言葉にしづらい感情ほど、人に説明できないまま引きずることが多い気がします。誰かの価値観を前にした時に、なぜこんなにモヤッとするのか。最近その理由がちょっと分かったのが、この本でした。 読んで気づいたのは、恥や道徳って、かなり「場所」や「時代」によって形を変えるということ。江戸の人たちは裸を「顔の延長」みたいに扱っていて、じろじろ見ないのが常識だった。ところが西洋人はそこに性的な意味を強く見てしまい、そこから摩擦が起こる。このズレの描写がとても生々しくて、自分がふだん無意識に抱いている前提が、どれだけ社会からの借り物なのかがよく分かるんです。 また、この本が面白いのは、日本の習慣が外からどう見えたかだけでなく、「どちらが正しいか」という発想自体が危ういと静かに示してくれるところです。お互いが自分の基準を唯一の正解だと思った瞬間に、相手を野蛮だと決めつけたり、自分の側を過度に守ろうとしたりする。その構図が現代のあちこちにも残っているのを思い出して、ちょっと背筋が伸びました。 自分の感覚のルーツを知りたい人、文化の違いに疲れたとき立ち止まりたい人にはすごく刺さると思います。感情の奥にある「社会の形」を、静かに見に行くような一冊でした。

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