
デリダ 脱構築と正義 (講談社学術文庫)
高橋哲哉
講談社 / 2015-05-08
この本について
日々、何かを判断したり、人の言葉に応えたりするたびに、「これで良かったのか」とうっすら後悔が残ることがあります。自分の立場や前提がどこか偏っている気がするのに、それをどう扱えばいいのか分からないまま時間だけが進んでいく感じです。僕も仕事で意見を求められる場面ほど、このモヤモヤに飲み込まれます。 『デリダ 脱構築と正義』を読むと、そのモヤモヤを無理に解消しなくていいのだと少し肩の力が抜けます。たとえばデリダが語る「同時に応えることは不可能」という指摘は、正しさを主張しきれない自分の弱さではなく、むしろ人が判断するという行為に本質的に含まれている構造だと教えてくれます。また、言葉や制度がどれも「きれいな出発点」から始まっていないという視点に触れると、自分の判断もどこかから継承したものだと気づき、少しだけ慎重になるし、同時に少しだけ自由になります。 読み進めるほど、デリダのいう「決定不可能でも決めなければならない」という矛盾の中で生きる感覚が、むしろ現実的なのだと分かってきます。結局のところ、この本は正義や言葉を大きく語る前に、「自分がどんな前提に立っているか」を静かに点検するための道具に近いと思います。 自分の判断や正しさに、ほんの少し不安を抱き続けている人に刺さる一冊です。
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多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの16%が集中しています。
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