
マタギ奇談
工藤 隆雄
この本について
仕事でも生活でも、ちょっとでも効率を上げようとして無理に近道を選んでは、かえって余計な消耗をしてしまうことってありますよね。早く成果を出したい気持ちと、足元を壊してしまう怖さのあいだで揺れる感じ、僕もよくあります。 『マタギ奇談』を読んでいると、その揺れに少しだけ風が通るような感覚がありました。苔を踏めば五十年戻らない、キノコを根こそぎ採れば来年にはなくなる。理屈というより、身体が知っているリズムみたいなものを大事にして生きてきた人たちの話は、「急いでも、世界のほうは急いでくれないよ」と静かに教えてくれます。そして獲物に向かうときだけ心に“鬼”を宿すという話も印象的で、常に全力で戦うんじゃなく、ここぞの瞬間に気持ちを切り替える技術として読むと、妙に腑に落ちました。 さらに、歴史としてはほとんど語られないアヘンや秘薬の話、事実が脚色に埋もれていく皮肉など、土地に刻まれた現実のほうが物語よりずっと複雑で面白いという感覚も、この本ならではです。迷いながら働いていると、自分の足で確かめたものより「わかりやすい物語」に寄りかかりがちですが、その危うさにもそっと光を当ててくれます。 表に見える説明よりも、人の営みの裏側にある“理”を確かめたい人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
読書の順序
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