
天上の葦【上下 合本版】 (角川書店単行本)
太田 愛
KADOKAWA
この本について
最近、ニュースを見てもSNSを見ても、どこまで信じていいのか分からなくなる瞬間が増えました。空気が重いというか、「これ言って大丈夫かな」と一瞬ためらうあの感じです。大ごとではなくても、日常の中でじわっと広がる不安に、うまく言葉がつけられないまま過ごしてしまうことがあります。 『天上の葦』の抜粋を読んでいると、そこに刺さっている人は、おそらくこの「じわっとした違和感」を無視したくない人なんだろうと思います。報道が黙り始めたときの危険さや、恐怖が連帯を断ち切ること、そして大きな火事はいつも小さな火から始まるという指摘は、物語の一部でありながら、こちらの日常にもそのまま届いてきます。一見遠い世界の話でも、登場人物たちが気づく小さな変化が、自分の生活にも重なるからだと思います。 この作品が効いてくるのは、まず「自分の感覚はそんなに外れていない」と安心させてくれるところです。もうひとつは、物語としての面白さの中で、社会の動きがどう積み重なっていくのかを具体的に見せてくれるところ。さらに、登場人物たちが迷いながらも小さな行動を重ねる姿が、自分の判断や選択を考えるきっかけになるところです。大げさな教訓ではなく、日常の目線から考え直せる余白があるのがありがたいです。 空気に流されずにいたいけれど、どう踏ん張ればいいのか悩む人には特に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの40%が集中しています。
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