
犯罪者【上下 合本版】 (角川文庫)
太田 愛
KADOKAWA
この本について
日々の仕事でも生活でも、思わぬところで判断を迫られたり、後から「あれが原因だったのか」と気づいて落ち込むことってありますよね。自分では真っ当にやっているつもりでも、ぜんぜん状況が良くならないときほど、何を手がかりにすればいいのか分からなくなるものです。 『犯罪者』を読んでいて強く感じたのは、物語のスリル以上に、「人は自分の見えていない因果の中で動かされてしまう」という怖さでした。若い頃の感覚のまま過ごして気づいたら変わり果てた身体、ほんの小さな善意が大事故につながってしまう瞬間、うまくいかない人生の裏に自覚できていない原因があるという指摘。これらの描写はフィクションなのに、どこか身近なヒリつきがあります。そして追い詰められた人物たちが、それでも十日だけ生き延びようとする場面には、状況がどんなに最悪でも人は選び直せるのかもしれない、という微かな希望もありました。 この本が効くのは、「自分の判断や選択に妙な不安を抱えたまま動いている人」だと思います。派手なカタルシスより、現実の延長線にありそうな失敗や後悔を静かに突きつけてくるので、読後は少しだけ視野の角度が変わります。物語として面白いのはもちろんですが、自分の行動の“死角”を見つめ直したいときにこそ刺さる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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