
蚊がいる (角川文庫)
穂村 弘
KADOKAWA / 2017-02-25
この本について
人といるとき、ちょっとした場面で自分だけ噛み合っていない感じがすることがあります。怒りたいのに怒れなかったり、別れ際の「バイバイ」ひとつで変なスイッチが入ったり、みんなが自然にできているはずのことが急に難しくなる。場がどうこうというより、自分の内側の癖がうまく扱えないまま積もっていく感じに、心当たりのある人は多いと思います。 穂村弘さんの「蚊がいる」は、その“内側の暴れ方”を丁寧にすくい上げてくれるエッセイ集です。たとえば、怒れない背景には相手への信頼不足があるかもしれない、という視点。これだけで「怒れない=弱さ」みたいな自己嫌悪から少し距離がとれます。また、別れ際に突然“特別な自分”を演出したくなる話も、読んでいるうちに笑えてきて、自意識の暴走を深刻に抱え込まなくていいと思える。さらに、「笑顔や思いやりをふと思いついたときだけ出力している」という告白は、無理に“いい人”を装いきれない自分を許すヒントにもなります。 全体として、劇的に変わるような話ではありません。ただ、自分の奇妙さや不器用さを、そのまま観察する余裕が少しだけ生まれる。そういう効き方の本です。自分の扱いに長年困っている人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの67%が集中しています。
読書の順序
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