
春の庭 (文春文庫)
柴崎友香
この本について
日々の中で、「なんでこんな面倒なことを続けてるんだろう」とふと立ち止まる瞬間ってありますよね。やめたいわけじゃないけど、ただ惰性で続けている感じもあって、自分でもうまく説明できないモヤモヤが残る。誰かに言うほどでもないけれど、確かにそこにある重さみたいなもの。 『春の庭』を読んでいると、その曖昧な気持ちの輪郭が少しだけ整ってくる感覚があります。登場人物たちは特別な事件に巻き込まれるわけでもなく、ただ暮らしているだけなのに、繰り返し続く毎日の中で揺れたり止まったりする心の動きをそのまま抱えています。「そうする仕組みになっているから続けるしかない」という一文は、自分も気づかないところで同じように回っている歯車を見せられたようで、変に励まされました。また、ふと頭の中で「ずるいな」とよぎってしまう瞬間の描写は、誰にでもある小さなざらつきを丁寧に拾い上げていて、自分の中の声に耳を澄ませてもいいんだと思わせてくれます。 人間関係でも仕事でも、答えのない揺れの中でなんとかやっている人に刺さると思います。劇的に気持ちを変えてくれる本ではないけれど、今の自分の温度のまま読めて、気づいたら少し呼吸がしやすくなるような一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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