
小説 言の葉の庭 (角川文庫)
新海 誠
この本について
仕事でも人間関係でも、表向きはうまくやれているのに、ふとした瞬間に「自分はいま何が好きで、どこに向かっているんだろう」と止まってしまうことがあります。会いたい人がいる気がするのに、その“誰か”の顔が浮かばない。そんな宙ぶらりんな感覚って、口に出しにくいけれど、多くの人が抱えているものだと思います。 『小説 言の葉の庭』は、その曖昧な不安や孤独を、少し遠くからそっと触るように描いてくれます。好きなものを言語化できないまま大人になったり、外からは分からない地獄をそれぞれ抱えていたり、人が感情で動いてしまう弱さに振り回されたり。作中の人物たちが経験する揺れ方が、自分の内側にある湿った部分と重なってくるんです。とくに、理由なく会える相手がいないという感覚に共鳴した人には、胸の奥で静かに灯るものがあるはずです。 この物語が効いてくるのは、無理に前向きにさせるからではなく、自分の揺れをそのまま置いておいていいんだと示してくれるところでした。好きなものが分からなくても、目標が三日で変わっても、誰かに頼れなくても、とりあえず今日の自分を抱えたまま立っていればいい。そのうえで、なにかを創りたい気持ちが少しでもあるなら、小さく動いてみればいい。そんな実感が残ります。 迷いを抱えたままでも進みたいと思っている人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
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