
イクサガミ 天 (講談社文庫)
今村翔吾
講談社 / 2022-02-15
この本について
仕事でも生活でも、過去の自分をふと思い返して「なんであんなに必死だったんだろう」とか、「あの頃の気持ちをうまく扱えていたら違ったかも」と思う瞬間ってありますよね。前に進みたいのに、振り返ると胸の奥がざわつく感じ。あのモヤモヤは、単に反省したいわけじゃなくて、あの時の自分をどう扱えばいいのか分からないまま残っているからなんだと思います。 『イクサガミ 天』の抜粋を読んで「必死である。あの頃の自分を懸命に、という感覚」に反応した人は、おそらく過去の自分を否定しきれないし、かといって肯定もしきれないまま、進み方を探しているのではないでしょうか。この物語は、歴史の大きな事件――たとえば禁門の変のような局面に立たされた人間が、それでも自分の足で立ち続けようとする姿を描いていて、“当時の自分を抱えたまま進む”という感覚に自然と視点を寄せてくれます。派手な名言で背中を押すというより、登場人物が積み重ねていく選択のひとつひとつが、読んでいる側の考え方を少しずつほどいてくれる感じがあります。 過去の自分を切り捨てるんじゃなくて、あの頃の必死さごと今の自分に繋げたい人に向いている物語です。歴史小説ではあるのに、人間の「どうにもならない部分」と「それでも前に進む部分」が等身大で描かれているので、読後に少しだけ肩の力が抜けます。そういう静かな効き方をする一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの44%が集中しています。
読書の順序
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