
死体格差 解剖台の上の「声なき声」より
西尾元
双葉社 / 2017-04-19
この本について
最近、人との距離をどう取ればいいのか、ふと迷うことがあります。身近な誰かの弱りゆく姿を前にすると、どこまで踏み込んでいいのか分からなくなるし、自分の中にも「見たくないものから離れたい気持ち」が顔を出します。そんなとき、この本の抜粋を読んで、思っていた以上に自分も“現実から目をそらす側”にいたことに気づかされました。 法医解剖医という、死の現場の最前線に立つ著者の視点には、正しさよりも「事実をそのまま受け止める」という静かな覚悟があります。貧困による凍死、独居の孤立、借金の重さ、遺体の内外のギャップ…。どれもドラマチックではなく、ただそこにある現実として語られるだけなのに、読み手のなかに妙なざわつきが残ります。人はこんなふうに弱っていき、判断を誤り、助けを求める余力すらなくしていく。そのプロセスを丁寧に追うことで、私たちがふだん無意識に切り捨てているものが、輪郭を持ちはじめます。 読むと、誰かの変化に気づく感度が少しだけ上がるし、「この人は大丈夫だろう」と思って距離を置く前に立ち止まれるようになります。自分の周りの“見えづらいSOS”を想像する力が、じわっと伸びる本です。 孤立や弱さに向き合うのが怖い人ほど、そっと刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの37%が集中しています。
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