
質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学 有斐閣ストゥディア
岸政彦, 石岡丈昇, and 丸山里美
この本について
研究テーマを考えるとき、「自分は何をどこまで分かっていて、何が分からないのか」が曖昧なまま進んでしまうことってありますよね。先行研究を読むほど霧が濃くなる感じというか。自分の問いがどこに位置づくのか、どう書けば正当性を示せるのかも、結構モヤモヤしやすいところだと思います。 この本がありがたいのは、そうした混乱を「手順」として言語化してくれるところです。先行研究の評価と批判をどう書くのか、そのうえで自分の問いをどう立てればいいのかを、抽象論ではなく実際の作業の流れとして示してくれます。また、量的・質的という分け方を単なる方法論の違いとしてではなく、「何を明らかにしたいのか」によって選び取るための視点として説明してくれるので、無理にどちらかに寄せようとする焦りも薄れます。そして質的調査の核心である「行為の合理性をどう見つけ、どう書くか」という部分が丁寧に扱われていて、対象の見え方がかなり変わります。 社会問題そのものを研究者自身が「見つけ、つくり出す」側面があるという指摘も、自分のテーマに根拠を持たせづらい人には刺さるはずです。私もここを読んでから、対象を観察するときの解像度が少し上がりました。 自分の研究テーマに自信が持てず、不安のまま書き進めてしまう人に特に向いている一冊だと思います。
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