
ファンベース ──支持され、愛され、長く売れ続けるために (ちくま新書)
佐藤尚之
この本について
仕事でも発信でも、「新しい人に届けないと」と思うわりに、数字だけ追って疲れてしまうことがよくあります。せっかく買ってくれたり、何度も足を運んでくれたりしている人がいるのに、そこを深く見る前に“もっと外へ”と意識が向いてしまう感じ、僕もずっとありました。 『ファンベース』を読むと、その考え方をひっくり返されます。まず「自分に関係ないと思われた瞬間、人は忘れる」という指摘が痛いほどリアルで、だからこそ最初に“身内”の関係性をつくる重要さが腑に落ちる。さらに、ファンに直接売るのではなく「ファンを通して外に広がる」という視点は、いまの情報過多の世界でようやく機能するやり方なんだと思わされます。新規より既存を優先する、というと保守的に見えるかもしれませんが、実際はライフタイムバリューを積み上げていくかなり現実的な戦略として描かれていました。 読みながら、自分が本当に大切にしたい人たちにちゃんと向き合えていたか、ちょっと反省しました。偏愛ポイントを素直に押し出すことや、人間味を見せることが結局いちばん共感につながる、というのも実感としてわかります。広げる前に深くする。深さの先に、自然な広がりが生まれる。この流れが腹に落ちる本でした。 数字や認知に振り回されている人や、「常連さん」をどう扱えばいいのか迷っている人には特に刺さると思います。
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