
マルクス 資本論の哲学 (岩波新書)
熊野 純彦
岩波書店 / 2018
この本について
仕事をしていると、「自分の時間も感情も、市場やお金の流れに合わせて振り回されている気がする」と感じる瞬間がありませんか。数字は追っているのに、そこで何が起きているのかはよく分からないまま動かされているような、あのモヤモヤです。僕も同じで、特に景気の波や組織の方針変更に右往左往していた頃、この感覚をうまく言葉にできませんでした。 熊野純彦さんの『マルクス 資本論の哲学』は、その「なぜそう感じるのか」を丁寧にほどいてくれます。資本がただのモノではなく、絶えず形を変えながら増殖しようとする“運動”そのものだという説明を読むと、自分が動かされている仕組みの輪郭が少し見えてきます。さらに、売りの局面が「命がけの跳躍」と呼ばれるほど不安定だと知ると、現場で感じるあの落ち着かなさも、個人の問題ではなく構造的な経験なんだと腑に落ちました。権利の裏側には必ず排除がある、という指摘も、普段自分が立っている立場を問い直すきっかけになります。 この本は資本主義を肯定も否定もしませんが、世界がどんな力学で回っているのかを「自分の生活にひきつけて考えたい人」にはかなり効きます。僕も読みながら、働き方やお金との距離の取り方に少しずつ調整が入った一冊です。
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