
内村鑑三 悲しみの使徒 (岩波新書)
若松 英輔
岩波書店 / 2018
この本について
仕事でも生活でも、自分の信じているものを言葉にしようとすると、だんだん「正解探し」になってしまうことがありませんか。祈るように考えているつもりが、気づけば自分の声が大きくなりすぎて、肝心なものが聞こえなくなる感じです。僕自身、そのモードに入ると視野が一気に狭くなってしまいます。 『内村鑑三 悲しみの使徒』を読むと、その行き詰まりに少し風が入ります。内村の姿勢は、派手な英雄物語ではなく、「静けさの中で何を聴けるか」という地味だけど深い問いに貫かれています。願いと祈りの違いに気づく場面や、教会という建物を失ってから世界そのものを教会として受けとった経験などは、自分の思考をいったん鎮めるとはどういうことかを、実感として教えてくれる感じがします。また、行為によって裏づけられない言葉を警戒したり、死者の働きを生者が受け取るという独特の死者観など、ふだん忘れがちな視点をゆっくり差し出してくれます。 読んでいると、大きな教えに従うというより、「自分はどこで耳を塞いでいたのか」を丁寧にたどりたくなる本です。表向きの合理性だけでは整理しきれない気持ちを抱えている人にとっては、少し呼吸がしやすくなるかもしれません。こんな人に刺さる本です。
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多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの44%が集中しています。
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