
薬屋のひとりごと (ヒーロー文庫)
日向夏 and しのとうこ
主婦の友社 / 2014-08-29
この本について
ときどき、自分の感情や人間関係をどう扱えばいいのか、よくわからなくなることがあります。人のきれいなところばかり見せつけられると、少しのほころびが妙に気になったり、逆に裏側の濁りを知って安心したり。頭では割り切れないのに、心は勝手に動いてしまう。そんな揺れに振り回される日があります。 『薬屋のひとりごと』を読んでいると、その揺れが少し整理される感覚がありました。猫猫の淡々とした視線は、華やかな後宮の裏で渦巻く感情や利害を、きれい事抜きで見せてくれます。例えば、美しすぎるものに対して逆に構えてしまう感じや、弱さや愚かさを前にしても突き放しきれない自分の曖昧さ。そういう、人に言いづらい気持ちを代わりに言語化してくれるところがある。さらに、人の立場やしがらみをどう「受け取って」「距離を置くか」というさじ加減も、猫猫の動きから考えさせられます。誰かを見下すでも持ち上げるでもなく、なるべく現実的に向き合う姿勢が、妙に落ち着くのです。 派手な謎解きよりも、人の正義感や欲、恐れの出方に興味がある人には特に刺さると思います。後宮を舞台にしていながら、人間の弱いところも滑稽なところも、変に美化せずに描かれている。そのおかげで、自分の中のややこしい部分も「まあこんなもんか」と少しだけ扱いやすくなる。そんな読書体験でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
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