
時間と言語を考える―「時制」とはなにか― (開拓社 言語・文化選書)
溝越 彰
開拓社 / 2016-06-23
この本について
ときどき、自分の「時間の感覚」が人とズレている気がして戸惑うことがあります。締め切りが近づくと急に時間が押し寄せてくるように感じたり、逆に予定を待っているあいだだけやたらと時間が遅く感じたり。説明しようとすると言葉に詰まるあのモヤモヤに、少しだけ光を当ててくれたのがこの本でした。 読んで面白かったのは、時間そのものよりも「時間をどう捉えているか」が人によってまったく違うという話です。たとえば、未来が自分に向かってくるように感じる人と、自分が未来へ歩いていくように感じる人。しかも、飛行機を待っているときのように「待つ状況」に置かれると、その感覚すら揺らぐ。このあたりを言語学の視点で説明してくれて、なるほど自分の感じ方だけが変わり者なんじゃなかったんだ、と少し肩の力が抜けました。 さらに、言語が時間をどう形づくっているかを丁寧に扱っているので、なぜ過去や未来を語るときに混乱しやすいのかも腑に落ちます。アウグスティヌスが「問いかけられなければ分かるのに、説明しようとすると分からなくなる」とこぼした理由が、じわじわと理解できてくる感じです。 自分の「時間の感じ方」に悩んだことがある人や、人との認識のズレに理由をつけられずにいた人には、静かに効いてくる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの40%が集中しています。
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