
機械カニバリズム 人間なきあとの人類学へ (講談社選書メチエ)
久保明教
この本について
AIまわりの話を追っていると、「結局、機械は人間を超えるのか?」「私たちはテクノロジーを本当に制御できているのか?」みたいな二択に追い込まれがちですよね。自分もずっとこの構図から抜けられずにいて、どこか見えない前提に縛られている感覚がありました。 『機械カニバリズム』は、その前提そのものをほぐしてくれる本でした。特に響いたのは、私たちがテクノロジーを使いこなす主体でも、テクノロジーに支配される客体でもなく、「結びつきの中で変化していく存在」として描かれている点です。たとえば、SNSでの炎上をただの技術の問題として語るのではなく、人と技術が絡まり合いながら新しい振る舞いを生み出してしまう現象として捉える視点は、自分の普段のモヤモヤに妙に腑に落ちました。制御という発想をいったん外すと、未来予測ばかりに縛られていた視界がけっこう変わります。 もう一つ大きかったのは、「人間と機械」という対立自体が歴史的・文化的にできあがったものだと捉え直してくれるところ。道具か脅威かの二択ではなく、人と非人間の関係のあり方そのものを見直すことで、今とは別の現在の可能性が見えてくる感覚があります。 AIの話題に疲れてきたけれど、それでも無視できない…という人に刺さる一冊です。
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