
記憶術全史 ムネモシュネの饗宴 (講談社選書メチエ)
桑木野幸司
講談社 / 2018-12
この本について
仕事で新しい知識を入れても、数日後にはどこかに消えていて、必要な時に思い出せない。そんな自分にモヤッとすること、僕はしょっちゅうあります。メモアプリを増やしても状況はあまり変わらず、「覚えるって結局センスなのか…?」と落ち込みがちでした。 『記憶術全史』を読んで少し空気が変わったのは、記憶そのものを「扱いにくいけど、付き合いようはある存在」として描いてくれたからです。特に、古代ローマの弁論家が情報爆発の中で編み出した“場所とイメージと秩序”という発想が、いまの自分の混乱にもそのままリンクしたのが大きかったです。頭の中に仮想の建物を作り、そこに情報を置いていくという説明は、一見非現実的に思えるのに、読んでいると妙に腑に落ちます。情報をイメージに変換する理由や、その背後にある思考の積み重ねまで丁寧に追えるので、「ただのテクニック紹介」とはまったく違う読み心地でした。 もう一つ響いたのは、記憶術が一部の超人の技ではなく、「時間をかけて努力すれば誰でも扱えるもの」と位置づけられている点です。記憶を神格化しすぎず、でも粗雑に扱いもしない。そのバランスが、日々の勉強や仕事にも持ち込める感覚でした。膨大な情報に追われつつ、どう整理して抱えていけばいいのか悩んでいる人にはとても相性がいいと思います。 知識を“ためる”より“置く場所を整える”発想に切り替えたい人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの71%が集中しています。
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