
語りかける身体 看護ケアの現象学 (講談社学術文庫)
西村ユミ
講談社 / 2018-10-12
この本について
人と向き合うとき、相手の反応が読めない瞬間ってありますよね。こちらが一方的に関わっているだけのように思えて、自分の感じていることも思い込みなんじゃないかと不安になる。仕事でも介護でも、言葉のやり取りが難しい相手と接すると、その感覚はより強くなります。 『語りかける身体』を読むと、その“手応えのなさ”に別の光が当たります。たとえば、触れる/触れられるの境目が曖昧になるあの瞬間。こちらの声かけに反応しているようにも、逆に相手のわずかな動きにこちらが導かれているようにも感じるあの妙なタイミング。本書はその曖昧さを、思い込みとして片付けずに、そこで起きている関係の生成そのものとして扱ってくれるんです。観察した記号だけを並べても見えてこない、前意識的な層での“やり取り”に目を向けさせてくれる。 読んでいると、相手が反応していないように見えるときでも、実は自分の側が相手を「客体」に押し込めてしまっているだけではないか、という痛い指摘にも出会います。関係が成立していないのではなく、自分がその芽を受け取る姿勢になれていなかっただけかもしれない。患者とのやり取りを通して看護師の感受性が育っていく描写は、どんな対人の場にも通じるものがありました。 表面的なリアクションだけで人を判断してしまいがちな人、自分の感覚に自信が持てないまま誰かと関わっている人に、とても静かに効いてくる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの36%が集中しています。
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