
芸術起業論 (幻冬舎文庫)
村上隆
この本について
仕事でも創作でも、相手に伝わっているのかよくわからないまま進めてしまう時があります。自分の感覚だけを頼りにしていると、好き嫌いや勢いで判断してしまって、気づけば「なんでこれを作ったんだっけ」と立ち止まることになる。僕もそういう迷いが抜けずに、もやっとしたまま手を動かし続けていた時期があります。 この本が効いたのは、村上隆さんが「文脈」と「他者」を徹底して見据えているからです。作り手の主観だけではなく、価値観の違う人にも届くように、説明の工夫をして、歴史という棚に自分の作品を置きにいく。その視点が、創作だけでなく仕事全般にもそのまま刺さるんです。自分の感覚を大事にしつつも、相手のリアリティを想像すれば作品が変わる、という指摘はかなり現実的で、読んだあとに「たしかに」と腹の底で納得しました。 さらに印象的だったのは、芸術を特別扱いせず「社会で戦いながら続ける仕事」として語っているところです。タフさやお金のリアルから逃げない姿勢は、創作を夢物語にしがちな僕には刺さりましたし、自分の怒りや執着すらも表現の燃料にしてしまう考え方は、迷い続けている人間には救いにもなります。 「自分の表現がなぜ届かないのか」「どうやったらもっと本質に触れられるのか」と立ち止まっている人にこそ響く一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
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