
矛盾社会序説
御田寺圭
イースト・プレス / 2018-11-25
この本について
最近、「誰がどれだけ大変か」を比べる空気にしんどさを感じることが増えました。助けたい気持ちはあるのに、誰かを選んだ瞬間に別の誰かを排除しているようで、妙な罪悪感が残る。自分のしんどさだって本物なのに、どこかで「もっと大変な人がいる」と言われると、言葉がつまってしまう。そういうモヤモヤを抱えたまま日々を過ごしていました。 『矛盾社会序説』は、その感覚を「気のせい」ではなく、いまの社会の構造のほうに原因があると淡々と示してくれます。たとえば、かわいそうの順位づけのゲームに巻き込まれる理由や、人の評価や支援が偏在するときなぜあんなに傷つくのか。あるいは、孤独やセルフネグレクトが個人の弱さではなく、誰にも顧みられないまま積み重なった結果として起きること。読んでいると、これまで自分の中で名前をつけられなかった違和感に、ようやく輪郭が生まれてきます。 この本は「こう生きろ」とか「社会はこうあるべき」とは言いません。むしろ、矛盾だらけの現実の中で自分が感じてきた痛みや引っかかりに「それで普通だ」と言ってくれるような距離感があります。特に、やさしさの偏りに敏感な人、選ばれなかった側の静かな祈りに思い当たる人には刺さると思います。 社会のほうが先にこぼしている歪みを、自分のせいにしなくていい。その感覚を確かめたいときにそっと開ける本でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの41%が集中しています。
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