
バナナと日本人 フィリピン農園と食卓のあいだ (岩波新書)
鶴見 良行
岩波書店 / 1982-08-20
この本について
仕事でも日常でも、自分が当たり前だと思っているものの背景が見えなくなる瞬間ってあります。特に食べ物は、値段や味だけで完結した気になりがちで、どこから来たのかを考える余裕なんてほとんどないまま積み上がっていきます。でも、その「当たり前」がじわじわ不安になること、ありませんか。 『バナナと日本人』は、そのモヤモヤに静かに手を入れてくれる本でした。バナナの歴史が淡々と語られるだけなのに、読み進めるほど、自分が毎日見ている景色が少しずつ揺らいでくるんです。たとえば、明治の日本に最初に届いた七かごのバナナの話は、それだけで“これはただの果物じゃない”と感じさせますし、フィリピン南部に日本市場向けの専用農園がつくられた経緯を知ると、スーパーに並ぶ一房の裏側にどれほどの構造があるのかが見えてきます。また、バナナが「木」ではなく巨大な「草」だという事実のように、一番身近なものほど思い込みが多いことにも気づかされます。 こういう小さな視点のズレの積み重ねが、生活や仕事での判断の精度を変えるんだろうなと改めて感じました。「身近すぎて見えなくなっているものの背景を知りたい人」に特にしっくりくる本だと思います。
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