
あしたの君へ (文春文庫)
柚月裕子
文藝春秋 / 2019-11-07
この本について
人の感情に巻き込まれすぎてしまったり、相手の言動の裏をどう読めばいいか分からず、どっと疲れてしまう日ってありませんか。表では自信満々に見えるのに、実際は劣等感で人を攻撃してくる人がいたり、誰かの相談に乗っているうちに自分まで消耗してしまったり。相手の事情を理解したい気持ちと、自分を守らなきゃという気持ちの間で揺れることが、僕自身もよくあります。 『あしたの君へ』を読んでいて刺さったのは、読者のみなさんが保存していた部分とほぼ同じで、「人の行動の背景をどう見つめるか」という視点でした。自己愛性パーソナリティ障害の描写は、単に加害者を悪者として切り捨てるのではなく、彼らの脆さまで丁寧に描いている。その一方で、家裁調査官の仕事のように「常に相談者の立場に立つけれど、一方に偏らない」という姿勢が、対人関係で迷ったときの足場になる感覚がありました。誰かを理解するとは、相手の事情に深入りすることでも、無防備に背負うことでもなく、状況の全体を丹念に見ることなんだと腑に落ちます。 事件の裏側や人の生い立ちまで丁寧に追いかける柚月裕子さんの書き方は、現実の人間関係で「なぜこの人はこうなるんだろう」と立ち止まるときのヒントになります。とくに、相手の言葉に振り回されやすい人や、感情労働の負荷を一人で抱え込んでしまう人には、静かに効いてくる作品だと思います。 こんな人の言動に疲れやすい人に刺さるはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
読書の順序
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