
未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA)
早瀬 耕
早川書房 / 2017-09
この本について
仕事でも人生でも、気づけば自分の歩幅とは違うスピードに巻き込まれて、「あれ、自分はどこに向かってたんだっけ」と立ち止まりたくなる瞬間があります。頑張ってきたはずなのに、評価や結果の方ばかり気になってしまう。戻りたい場所も、進みたい場所もよく分からない。そんな揺れの中にいるとき、この小説の言葉が思っていた以上に静かに効いてきました。 主人公が、急行列車みたいなキャリアの流れに流され続けて、ふと「必要以上に距離を稼ぐ旅は、もういいかもしれない」と気づく場面があります。これが妙にリアルで、自分もどこかで同じことを考えていたとハッとする。さらに、正しさと間違いの境界があいまいな状況で、人が「信じたい方を選んでしまう」描写が続くことで、自分の判断の癖まで見えてきます。そして一番刺さったのは、「旅を続ける力とは、疲れ果てても戻る場所に戻ること」というセリフで、前に進むことだけが正解じゃないと思わせてくれるところでした。 物語はサスペンスの顔をしていながら、実際には「自分の物語を、自分の速さで選び直す話」に近いです。人生の軌道修正をしたいけど、劇的に変える勇気まではない人ほど、じわじわと心に入ってくると思います。こんな人に刺さります。気づけば急行に乗ってしまったけれど、本当は各駅でいいと思っている人。
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ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
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