
障害者差別を問いなおす (ちくま新書)
荒井裕樹
この本について
差別について考える時、「自分は差別なんてしていないはず」と思いながらも、どこか胸の奥にひっかかりが残ることがあります。善意で接したつもりが相手を縛っていたかもしれないとか、「社会が悪い」と言いながら、自分もその社会の一部だという感覚がどこか抜け落ちているとか。僕自身もその曖昧なモヤモヤをずっと抱えたままでした。 『障害者差別を問いなおす』が効いたのは、抽象的な「差別はよくない」ではなく、具体的な生きづらさの現場から考え直させてくれたところです。たとえば、働けないことを前提にした重度障害者の「生きていること自体が労働だ」という視点は、生産性を基準に人の価値を測ってしまいがちな自分の癖を強く揺さぶりました。また、「障害者も同じ人間」という言葉が、単なる道徳ではなく「社会の中で共に生きる者として扱われたい」という切実な要求から育ってきたフレーズだと知ると、その言葉の重さがまったく変わってきます。さらに、「健常者側の善意が、相手の選択肢や声を奪ってしまう」という指摘は、仕事でも日常でも思い当たる場面が多すぎて、耳が痛いけれど必要な気づきでした。 自分の中にある無意識の前提を見直したい人に刺さる本です。読んだあと、誰かへの接し方というよりも、自分がどんな社会の作り手になっているのかを静かに問い返される一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの19%が集中しています。
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