
人類学とは何か
ティム・インゴルド, 奥野克巳, and 宮崎幸子
亜紀書房 / 2020-03-31
この本について
仕事でも日常でも、「相手の言葉を聞いているつもりなのに、本当には届いていない気がする」とか、「世界の見え方がどこか平板で、自分が外側から眺めているだけに感じる」ことがありませんか。私もそうで、特に調べるとか学ぶという行為そのものが、相手との距離を生んでしまう瞬間にモヤモヤしていました。 『人類学とは何か』は、その行き詰まりを一度ほぐしてくれる本です。人を“研究の対象”として扱う態度ではなく、世界に入り込み、人々とともに考える姿勢こそが人類学だと言い切る。その視点に触れると、「わかったつもりで切り分ける癖」が少し緩むんですよね。現象をデータに変えた瞬間に、そこにあった質がこぼれ落ちるという指摘は、仕事で分析をしていると痛いほど思い当たります。 同時に、世界そのものが固定されたものではなく、私たちと同じように常に生成し続けているという視点は、出口が見えない時期の呼吸のようにも感じました。すぐに役立つ“答え”が手に入るタイプの本ではないですが、他者に近づくとはどういうことなのか、生き方そのものをどう捉えるのかを、静かに揺さぶられる一冊です。 「他者との距離感にいつも迷っている人」に特に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
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