
村上ラヂオ(新潮文庫)
村上春樹 and 大橋歩
新潮社 / 2003-07-01
この本について
たまに、ふとした瞬間に「自分ってこんなにも不確かなんだな」と思うことがあります。仕事で判断を迫られたときに妙に心細くなったり、よくわからないまま流されている感じがしたり。理屈で説明できないモヤモヤを抱えつつ、でも日常は淡々と続いていく。そのギャップに疲れること、僕もよくあります。 『村上ラヂオ』を読んでいると、その“よくわからなさ”を無理に片づけなくてもいいのかもしれないと思えるんです。たとえば、死の気配をふと感じた瞬間に見える世界の質感の話や、「わからないものを抱えているほうが心地よい」という姿勢。そういう視点に触れると、答えを出せない自分を責める気持ちが少しほどけていきます。柿ピーの配分に妙なこだわりを見いだしたり、京都のおばあさんの笑いに含まれる裏のメッセージを読み取ったり、日常の細部を丁寧に拾うことで、自分の感覚が静かに整っていく感じがあるんです。 大げさに人生を変えるような本ではないけれど、忙しさの中で平らになってしまった感性をそっと撫で上げてくれるところがあります。ふだん忘れがちな、自分だけの“重さ”とか“温度”みたいなものを思い出させてくれるというか。 正解の形を決めつけられるのがしんどい人、あるいは「理不尽や曖昧さをそのまま置いておきたい」とどこかで思っている人には、じんわり刺さるかもしれません。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの35%が集中しています。
読書の順序
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