
大分断 教育がもたらす新たな階級化社会 (PHP新書)
エマニュエル・トッド and 大野 舞
PHP研究所 / 2020-07-14
この本について
最近、社会のニュースを見ていて「なんでこんなに噛み合わないんだろう」とか、「努力しているはずなのに報われ方が人によって全然違うよな…」みたいな、説明しづらいモヤモヤを抱えることが増えました。自分の力不足というより、構造そのものがズレているんじゃないか……そんな感覚に近い人は多いと思います。 『大分断』が刺さるのは、この“説明のつかないズレ”を、教育格差という軸から丁寧に言語化してくれるところだと感じました。支配階級が目的を失っているという指摘は、単なる富の偏りとは違う種類の行き詰まりを示していて、社会の空気の重さに合点がいく場面が多いです。また、民主主義が機能しづらくなる理由を「教育レベルの差」と結びつけて見せる視点は、普段あまり意識しない構造を浮かび上がらせます。個人的には、学ぶこと自体を目的にしていたはずの教育が、生存競争のツールにずれこんでしまった話に、妙な実感がありました。 社会の流れに振り回されている気がする人や、個人の努力だけでは説明できない閉塞感の正体を知りたい人には特に向いています。何かを劇的に変える本というより、「いま自分が立っている場所の輪郭が少しはっきりする本」という距離感がちょうどいい一冊でした。
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