
オーストリア滞在記 (幻冬舎文庫)
中谷美紀
幻冬舎 / 2021-02-04
この本について
日々の生活で、「自分の選択はこれでいいのか」とか、「家族との距離感をどう保てばいいのか」とか、はっきり答えの出ないモヤモヤってありますよね。仕事と私生活のバランス、言葉の壁、異文化の中での役割……どれも一気に解決するものではないけれど、少しずつ視界がひらける瞬間はあるんだと思わされました。 『オーストリア滞在記』は、派手な成功談ではなく、暮らしの中の細かい揺れがそのまま綴られています。山に消えていく夫を心配する感じとか、言葉が通じなくて子どもにうまく関われない焦りとか、国境や滞在許可証の問題で自分の立場が揺らぐ感覚とか、読んでいて「わかる…」と勝手に頷いてしまいました。無理に前向きになるのではなく、生活に流されながらも、少しずつ関係性や言葉が積み上がっていく描写が、妙に現実的で安心します。 とくに、言語や文化の壁にぶつかりながらも、何度も失敗して、また挑戦して、気づけば「村の一員として認められた」と感じられるまでの距離の縮まり方が、じんわり効きます。家族との関係に悩んでいる人、環境の変化にうまく馴染めないまま時間だけ進んでしまった人に、静かに寄り添ってくれる本です。 「環境に振り回されている気がする大人」にとくに刺さるはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
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