
リベラルとは何か 17世紀の自由主義から現代日本まで (中公新書)
田中拓道
この本について
政治の話題って、右と左がごちゃついて見えたり、自分の立ち位置がよく分からなくなる瞬間がありませんか。ニュースを追っていても、言葉だけが先に走って、背景の構造がつかみにくいままモヤモヤが残るというか。僕自身ずっとその感じが抜けなかったのですが、この本は「いつから、なぜ今の対立軸がこうなったのか」を静かに整理してくれました。 特に効いたのは、かつての「市場か国家か」という対立が弱まり、いまの政治は「リバタリアニズム対権威主義」みたいに価値観の衝突が軸になっている、という説明です。たしかに最近のニュースを思い返すと、経済政策よりも文化やライフスタイルをめぐる緊張が前面に出ている場面が多い。そして、その裏でワークフェア競争国家や排外主義ポピュリズムが伸びてきた理由を歴史の流れの中で理解すると、単なる好き嫌いではない構造的な必然が見えてきます。 もう一つ、刺さる人には深く刺さると思うのが、日本の雇用・福祉の変化を「労使の力関係」から描き直している点です。終身雇用や年功序列がどう政治と結びついていたのか、そして新自由主義から安倍政権期の転換までの流れが、点ではなく線でつながる感覚がありました。日常の不安の正体が「自分の能力不足」だけではないと分かっただけでも、僕はだいぶ救われました。 いまの政治の対立軸に違和感がある人、あるいは働き方や福祉の話題を自分ごととして理解したい人にはちょうどいい一冊だと思います。
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