
計算する生命
森田真生
新潮社 / 2023-11-29
この本について
最近、仕事でも生活でも「考えても考えても腑に落ちない」みたいな場面が増えていませんか。正しいはずの計算が現実とズレたり、頭では理解しているつもりなのに、いざ行動となると急に途方に暮れたり。僕もよくそこで立ち止まります。 『計算する生命』が面白いのは、このモヤモヤを「認知主体としての私たちの立ち位置」から捉え直してくれるところです。たとえば、入力→処理→出力みたいな外側からのモデルだと人間の認識は説明しきれないとか、意味がまだ分からないままでも記号を“操る”時間の中で理解が追いついてくることがあるとか、具体的な経験に近い形で示してくれます。また、生命にとって大事なのは世界を描写することより、世界に参加することだという視点も、行動が止まりがちなときの足場になりました。 数式の話もたくさん出てきますが、目的は数学の知識を増やすことではなく、「どうやって人は未知の概念とつき合ってきたか」を描くことにあります。特に、意味のない方へ手を伸ばすときに感じる痛みや戸惑いを丁寧に扱ってくれるので、学びに不安を抱えやすい人ほど救われる気がします。 自分の考え方の限界に息苦しさを感じている人にこそ、静かに効いてくる本です。
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