
日本企業のタレントマネジメント
石山恒貴
この本について
人事の仕事をしていると、「優秀って何を指すんだろう」「結局、期待された人だけが伸びていく仕組みになってないか」と、どこか引っかかる瞬間があると思います。現場で見えている“人の成長のリアル”と、制度として語られるタレントマネジメントが、うまくつながらない感じです。 この本が面白いのは、「タレント=天賦の才能」みたいな曖昧なイメージをいったん解体して、能力・コミットメント・貢献という具体的な要素に分けてくれるところです。さらに、ピグマリオン効果やマタイ効果のような“人事評価の影の部分”にも踏み込みながら、それでも制度としてどう整えていくかを、現実的な距離感で説明してくれます。特に、タレントが環境に依存するのか、移転可能なのかという議論は、配置や育成で悩んでいる時に視点を変えてくれます。 個人的には、キーポジションの定義からタレントプールを作り、そこに誰を入れるかを決めるプロセスの話が腹落ちしました。選抜と育成をきれいに切り分けるのではなく、組織戦略と人の可能性の両方を見ながら運用していく姿勢が描かれていて、実務の泥臭さを否定しない点がありがたいです。 「期待や評判だけで人を選びたくない。でも、現場としては判断しないと前に進まない」と悩む人に刺さる一冊だと思います。
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