
「うつ」の効用 生まれ直しの哲学 (幻冬舎新書)
泉谷閑示
幻冬舎 / 2021-07-28
この本について
最近、休んでも休んだ気がしないとか、「動けない自分」を責め続けてしまう人とよく話します。頭では「そろそろ戻らなきゃ」と思うのに、身体はまったくついてこない。自分でも理由が分からないから余計に苦しくなるんですよね。僕自身も、似たような行き詰まりを何度も繰り返してきました。 この本が面白いのは、「うつ」を“壊れた状態”ではなく、“頭の支配にうんざりした心と身体の抵抗”として説明してくれるところです。だから、無理に意欲を絞り出そうとすればするほど噛み合わなくなるし、むしろ「動きたくない」という感覚そのものに意味がある、と。読み進めるうちに、休むことや何もしない時間が「怠け」ではなく、心=身体の自然な回復プロセスなんだと少しずつ腑に落ちていきました。 さらに、著者が繰り返し強調する「あるべき自分」から距離をとる視点も、個人的にはかなり効きました。過去の後悔や、将来への備えばかりを積み上げようとするのは頭のシミュレーションであって、“いま・ここ”を感じる身体とは別物だという話は、自分の焦りの正体を理解するきっかけになります。 他人の評価を拠り所にしがちな人、頑張ることをやめるのが怖い人に、静かに刺さる一冊だと思います。
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