
「普通がいい」という病 (講談社現代新書)
泉谷閑示
講談社 / 2006-10-20
この本について
気づけば「普通でいたい」と思いながら、その普通が何なのか分からなくなる時ってあります。仕事も人間関係も、どこかで誰かの基準に寄りかかってしまって、自分の足で立てていない感覚が続く。頑張っているはずなのに満たされず、埋めようとして余計に苦しくなる。そんな状態に心当たりがある人には、この本の言葉が静かに刺さると思います。 泉谷さんが描くのは、「普通」という価値観に合わせることで心の奥が空洞になっていく仕組みや、満たされなさが依存的な行動に形を変えてしまう流れです。特に、期待を手放せずに待ち続けてしまう構造が「絶望」の正体だという指摘は、自分の思考の癖を見直すきっかけになります。また、抑え込んだ感情がやがて心身に反乱を起こす話は、無理が続いた後に突然動けなくなる経験をした人なら、思い当たる部分が多いはずです。 この本は、生き方を劇的に変えろとは言いません。ただ、自分の内側にある空白や葛藤を「無いこと」にしないで見つめ直すと、少しずつ違う動き方ができるようになる、と示してくれる。誰かにもたれかかる関係ではなく、自分の足で立ちながら並んで歩く感覚を取り戻したい人に向いています。 「普通に生きたいのに、普通がつらい」。そんな矛盾を抱えたまま日々を過ごしている人ほど、そっと置いておける一冊です。
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