
日系人の歴史を知ろう (岩波ジュニア新書)
高橋 幸春
岩波書店 / 2008-09-19
この本について
最近、歴史を学ぶときに「善悪で割り切れないものをどう扱えばいいんだろう」と考え込むことが多いです。移民や国家の話になると、とくに自分の中の基準が揺れる瞬間があります。正しいと思っていた前提がつかめなくなるあの感じ、同じようにモヤモヤしている人は多い気がします。 『日系人の歴史を知ろう』は、その揺れをごまかさずに扱える一冊でした。ブラジル移民が歓迎された理由が「親日だから」ではなく、もっと複雑で偶発的な事情だったこと。密林を切り開くような過酷な労働の一方で、日本から持ち込まれた皇国教育や偽の勅語が広まってしまうような混乱があったこと。そして、戦後になってようやく「人権」を軸にした受け入れが語られるようになったこと。どれも、単純な美談では片づけられない現実として刺さります。 読みながら、自分の中に「移民=努力で報われた人」という都合のいいイメージを無意識に乗せていたことに気づきました。むしろ現場で起きていたのは、景気の波に翻弄され、帰りたくても船すらなく、異国でただ黙々と働くしかない人たちの姿です。この視点を持てると、移民を語るときの距離感が変わります。 歴史をまっすぐ理解しようとして、いつも途中で迷ってしまう人に届く本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
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