
ふたつの日本 「移民国家」の建前と現実 (講談社現代新書)
望月優大
講談社 / 2019-03-13
この本について
外国人労働の話題を目にするたびに、「結局この国はどこに向かっているんだろう」ともやっとすることがあります。人手不足のニュースは聞くけれど、現場で暮らしている人たちの姿が全然見えてこない感じ。自分も移民政策に詳しいわけじゃないので、表面的な理解のまま距離を置いてしまうことがよくありました。 この本は、その「距離」の正体を具体的に見せてくれます。たとえば、政府が「移民」という言葉を避け続けている現実や、「いつか帰る労働者」という前提のまま制度が作られていること。読みながら、僕らが普段見ているのは“労働力としての外国人”であって、“生活者としての人間”に目が向いていないからモヤモヤするんだと気づかされました。また、日本語が不十分なまま子どもとの会話に苦労している親の話や、頻繁な転居によって学校に通えない子どもが生まれてしまう構造など、ニュースでは見えない生活の断片が丁寧に描かれています。 「移民かどうかは定義の問題にすぎない」という一文が象徴的で、僕らが“移民政策そのものが存在しない国”に暮らしているという事実を改めて突きつけられました。この本は結論を押しつけてこないし、解決策を派手に語るわけでもない。ただ、読んだあとに街で見かける景色が少し変わる本です。 今の制度に違和感を覚えている人、外国人と接点がある人、あるいはニュースだけでは腑に落ちない人に刺さると思います。
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