
線は、僕を描く (講談社文庫)
砥上裕將
講談社 / 2019-09-17
この本について
仕事でも趣味でも、気づけば「正しくやらなきゃ」と肩に力が入りすぎて、結局なにも進まないまま一日が終わることってありませんか。頑張っているはずなのに視野が狭くなって、かえって自分を縛ってしまうあの感じです。僕も同じで、まじめさが足かせに変わる瞬間を何度も味わってきました。 『線は、僕を描く』を読んでいて刺さるのは、そんな硬さをそっとほどくような言葉がいくつも出てくるところです。水墨画の世界の話なのに、「自然じゃないまじめさ」や「知らないことの力」みたいな考え方が、日常の行き詰まりにもそのまま重なるんですよね。完成を目指すんじゃなく、いまの瞬間にあるものをそのまま掬い取る視点に触れると、何かを始めるときのハードルが少し下がります。そして「歩き出さなければ想像もしない場所には辿り着けない」という言葉が、停滞している自分の背中を静かに押してくれる。 これは「うまくやろうとしすぎて疲れてしまった人」に特に沁みる本だと思います。自分が固くなっていることにも気づけないとき、この物語に登場する湖山先生の言葉のひとつひとつが、深呼吸みたいな役目を果たしてくれます。やり方よりも、いまの自分が何を感じているかを思い出させてくれる。そんな静かな温度の本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの65%が集中しています。
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